2005年・気まぐれ小説
22 12/15 殺人課刑事 アーサー・ヘンリー
・新潮社
(1998年)
・上下2段で462Pの長編ですが読みやすく主人公になったようにグイグイ引きこまれました。
・今まで読んだ中でも5本の指に数えられます。推理小説の好きな人は必読。
・マルコム・エインズリー部長刑事、マイアミ警察署殺人課勤務。
・連続殺人事件・死刑執行当日に犯人から名指しで「告白をする」と呼び出される元カトリック神父の主人公。
・複雑な社会生活ゆえに・犯罪者への心理分析・幼児への性的虐待・職場での人間関係等を取り入れ、ヨハネ黙示録の謎解きが知的スリルを盛り上げている。
・人間的にも立派で女性に持て終わりには警察官をやめ大学で比較宗教学の教壇に立ち
美人女性から又、又誘われる男性・・・私はなりたい。
21 11/22 天使のナイフ 薬丸 岳
・講談社
(2005年)
・妻を惨殺され、保育所に通う娘と生活をしている男性(フアーストフードの店長)の周辺で殺人事件発生。
・妻を殺した少年Aが殺され男性に容疑がかかり真犯人を求めて過去を調べ始めると・・・。
・最後まで考え抜かれたどんでん返しにワクワクでした。
・少年犯罪が話題になる今、犯人側も被害者も
消しがたい心身の重荷が胸に迫ります。
・本年度「江戸川乱歩賞」受賞作品。
20 11/10 孤宿の人(上・下)     宮部みゆき

・新人物往来社(2005年) ・江戸、内神田、ジメジメした陽のあたらない女中部屋で生まれ、萬屋の若旦那の子ながら「「死ぬ事を望まれた子供」であった。
・阿呆から「ほう」と呼ばれた9歳の少女が流れ着いた讃岐国・丸海藩で周囲の温かい人々の援助を受けながら育っていく感動のおはなし。
・名前も「ほう」から「方」に最終には「宝」となります。
・幼い少女が生き抜くためには環境や人間関係と「読み・書き・そろばん」が必要で今の子供達には欠けているものがあるように思います。(PTA必読)
・これからの人はプラス・パソコン・英語でしょうか?
19 9/15 震度0 横山秀夫
・朝日新聞社
(2005年)
・職員役3000人のN県警察署を舞台に繰り広げられるキャリァとノンキャリァとの確執の中で事件が・・・・。
・神戸、淡路大地震発生を縦糸に行方不明の警務課長の極秘捜査が始まります。
・警察官の妻は元婦人警官が多いのですネ、夫人同士のネタミや羨望が入り乱れて制服姿の硬いイメージても中身は市民と変わりませんネ。
・410Pの長編ですがアッという間に読みきれ面白い本でした。
・古本市場で1300円で購入。
18 9/8 最高裁調査官 ブラッド・メルツァー
・早川書房
(1997年)
・調査官ベンは幼なじみのルームメイト3人と相棒の調査官とで詐欺師を捕まえようとします。
・なぜかベンのもくろみはことごとく敵に見破られ失敗の連続、友人の中に裏切り者がいるとほのめかされ疑心暗鬼、友人ともいがみ合うようになりますが・・・・。
・ルーガル・サスペンスとしては軽い感じですが「いきのいい」若者の会話がジョークの連発で楽しめます。
・相棒の女性調査官との恋愛模様があっさり描きすぎでイマイチでした。
17 8/15 ねじれた夏 ウイロ・デイビス・ロバーツ
・講談社
(1997年)
・シシー(14歳・少女)が主人公。
・デトロイトの小さな湖沿いに立ち並ぶコテージに毎夏家族連れでやってくる別荘内での殺人事件に疑問を持ち調べ始めます。
・ボーイフレンドを異性として意識し始めますが「チビ」と呼ばれがっかりしたり、寄せるほのかな思いが通じなくて・・・。
・無邪気な子供時代が終わり大人の世界の入り口に来た少女の微妙な心の揺らぎがうまく書けています。
・ミステリー仕立ての青春小説。
16 8/10 物的証拠(上・下) ジョン・T・レスクワ
・早川書房
(1995年)
・サンフランシスコ市検事局検事補ディズマス・ハーディが検事局内のイザコザで検事補を降り弁護士として元判事の刑事裁判で活躍します。
・アルバイト、離婚、子育て、再婚、家庭生活、元妻との交際等日常生活の描写も細かく親近感を覚えました。
・法廷内のやり取りが少々ひつこく感じられました。
・犯人の動機が父親と娘の近親相姦であったとわ・・・その世界も広い。
15 7/25 既死感(上・下) キャスリーン・レイクス
・角川書店
(1998年)
・女性の法人類学者(骨の専門家・テンペランス・ブレナン)が連続殺人事件を追います。モントリオール市警刑事との軋轢や友情が横糸に犯人が本人を襲う危機一髪を脱しメデタシ・メデタシ。
・別居中の夫、娘との問題も抱えペットの猫と同居の働く母親に尊敬の念しきり。
・頭蓋骨の切断の描写はさすが専門家で詳細で読み応えがありました。
・暑さを吹っ飛ばすほど夢中で犯人を追いかけ満足の一冊です。
14 6/25 ホワイト・バタフライ ウォルター・モズリイー
早川書房
(1995年)
・黒人の私立探偵イージー・ローリンズ・シリーズ第3作
・連続殺人の4人目、黒人街での白人女性が被害に、ロサンゼルス市警がローリンズに協力を求めます。
・家庭には妻、子供と養子「ろうあ」のメキシコ少年で平和な日常に軋みが出て終盤には悲しい事が・・・・。
・メキシコ少年が時々「僕 おしゃべりできる日がくる?」と問いかけます。「絶対 その日が来る」とさりがなく伝え抱きしめてやります。
・黒人社会独特の空気がかもし出され緊張感が伝わってきます。
・被害者の女性の乳児を引き取り新たな出発が救いでした。
13 6/17 魂萌え! 桐野夏生

毎日新聞社
(2005年)
・夫の急死後・愛人問題・子供との遺産騒動が持ち上がった専業主婦(59歳)が世間の荒波にもまれながら難問をクリアーし生きがいを見つけるお話。
・ヒロインが59歳の中高年とは今風で第二の人生をどのように過ごそうか?と思っている女性には指針になります。
・健康・お金・友達は男女を問わず多数が良いですね。
12 6/11 偽装者
上・下
ディヴィット・マレル
早川書房
(1995年)
・マレルはランボーシリーズでよく知られている作家。
・米陸軍の潜入工作員ブキャナンが負傷しながらも女性を救うべくワシントンポストの記者・ホリーを伴い活躍しますがラストでは女性の安否が不明のままエンドにはいささか疑問。
・格闘場面の描写はさすがでした。
11 5/3 生首に聞いてみろ 法月綸太郎
角川書店
(2004年)
・若くて美人の生首が郵送される事件が発生、16年目の出来事もからんで複雑な人間模様がさらされます。
・2004年に評判になった推理小説とのことですが人物描写に血が通ってないような気がしました。
・定価1800円を中古書店で735円(少し得した気分になりましたが・・・・・)
10 4/22 黒と青 イアン・ランキン
早川書房
(1998年)
・イギリス・エジンバラを舞台にリーバス警部が連続絞殺魔事件の捜査に乗り出しますが・・・。
・英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作品ですが538ページ読み進んでも逮捕できず犯人が大トランクを持参で姿を消して幕切れとは「屋根に上ってハシゴを下ろされたような」後味の悪い小説でした。
9 4/6 我輩はカモである ドナルド・E・ウエストレーク
角川書店
(1977年)
・叔父マットから濡れ手で粟の遺産31万7千ドルを主人公「フレッド・フイッチ」が受け取るがそれが悪運の着き始めで脅され、逃げ回りながらも真実にたどり着きます。
・コメディ+サスペンスが攪拌された小説ですが血なまぐさ死体を置いてのユーモアにはついていけません。
・1967年アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞を獲得しています。
8 3/28 血に問えば イアン・ランキン
早川書房
(2004年)
・リーバス警部シリーズの14冊目で五十代後半、定年まであと数年という身。しかし権威をものともしない反骨精神は衰えておらず小気味よい暴言を吐きながら独自の捜査により事件の裏の真実を追求します。
・エジンバラの私立校に銃を持った男が突入して乱射、生徒2名死亡、1名負傷、犯人もその場で拳銃自殺の事件の謎を追い求めます。
・シボーン・クラーク(女性部長刑事)とペァーで活躍をしますがつかず離れずの関係は少々イライラです。
・組織の中での反骨精神は元サラリーマンには大変面白くいたるところで拍手喝采。
7 3/17 TVレポーター殺人事件 モリー・マキタリック
文藝春秋
(1990年)
・第8回サントリーミステリー大賞選ばれたこの作品は野心的な女性レポーターが殺害され同僚のベテランキャスターが犯人を探し出すという小説。
・政治家、評論家、TV界の人間模様を皮肉を込めたユーモアで描いているので時には噴出したりチカラを入れずに読み終えました。
・野心的でがむしゃらな仕事振りは会社側から見れば必要不可欠ですが恨まれる事もあるので要注意です。
6 3/3 夏の椿 北 重人
文藝春秋
(2004年)
・「夏の椿」とは沙羅双樹の白い花を言う。
・甥が殺されその真相を探り仇を討つまで・長屋の人々・生臭坊主・与力・岡引等との交流の描写がうまい時代小説。
・最終章、米騒動で民衆が立ち上がりアコギナ米問屋を襲う筋書きが一寸面白い。
・「夏の椿、沙羅の花であった。つと、新しい路地に風が立った。かすかに、秋の気配がした。」というきれいな文章で終わっています。
5 2/27 死者との誓い ローレンス・ブロック
二見書房
(1994年)
・無免許の探偵マット・スカダーが容疑者の弟の依頼で無実を晴らす為に奔走するストーリー。
・本書は1994年・PWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長編賞を受賞したマット・スカダー・シリーズの第11作。
・派手なドンパチや暴力シーンはなく・スカダーの恋人の元高級娼婦や・元恋人・殺された人の妻等の会話が面白く楽しめました。
・主人公は「禁酒の会」に入っていて事件の解決の時が1年目の達成日と重ねています。
・「深酒の人」が読めば読書後には「酒」とサヨナラができます。
4 2/15 魔術師 ジェフリー・ディーヴァー
文芸春秋
(2004年)
・四肢の自由を奪われた科学捜査の天才ライム、彼の手足となって現場を飛び回る婦人警官サックスのコンビが神出鬼没の「魔術師」を相手に戦い、見事取り押さえるオハナシ。
・515Pの大作ですが息もつがせぬ展開に一気に読み通しました。
・後味の良い本でした。
3 1/23 白い捜査線 レックス・バーンズ
角川書店
(1982年)
・コロラド州のデンバーを舞台の警察小説でウェイジャー刑事が麻薬密売業者になり下がった幼友達を逮捕する話。
・アメリカの少数派、メキシコ系市民の味わわなければ
ならない悲哀を克明に描き出しています。
・麻薬密売者の逮捕には情報屋をいかに抱き込むかが勝負でその駆け引きが面白い。
2 1/15 抑えがたい欲望 キース・アブロウ
文春文庫
(2004年)
・精神科医が警察所長の要請で幼児殺人の犯人逮捕に協力するがその母親との男女関係もありの心理サスペンス。
・推理小説の割にはベッドシーンの描写が濃厚で美貌の母親に翻弄される男性がいとおかし。
・犯人逮捕のきっかけの血液検査が遅かったのが気になりますが意外性に拍手。
1 1/4 決断 バリー・リード
早川書房(1994年) ・元海兵隊員で硫黄島で戦争経験もあるボストンの弁護士が
被告側の弁護士にもかかわらず原告の証人になり製造物責任の不利な裁判で示談に持ち込み正義を貫く話。
・前半は淡々と進みますが後半に息も継がせぬ事件が発生、大人の恋が勇気と真実の背中を押します。
・春風のような爽やかな本格、正統な法廷サスペンス。
・「仰天しても、賢く、忠誠でも中立に。そんなふうに誰がなれる?それもいっぺんにだぞ。」(マクベス・第2幕・第3場)と
表紙の裏にありました。
番号 月日 題名       作   者   発行所・年度                 寸    評